
ゲコーです。
制作したEAを販売サイトなどにリリースすると、ユーザーさまより次のような質問を受けることがあります。
「EAを〇〇円で運用したいのですが、ロット数はどれくらいに設定すればいいでしょうか?」
このような質問があったとき、原則として私は「わかりません」という趣旨の回答をしています。
なぜならば、
- EAを稼働させるのは運用者さまの意志に基づくものであり
- EA運用による利益と損失のバランスは運用者さまが決定すること
だからです。
運用者さまの資金量とリスク許容割合のもとでロット数が決まるということですね。
また、使用しているブローカーによって、トレードできる最小ロット数が変わることもあります。
たとえば私が、
「〇〇というEAの適正ロット数は0.01ロットです」
と推奨したとしても、
使っているブローカーで採用している最小ロット単位が「0.1ロット~」だとすると
「0.01ロット」設定でEAを稼働させたらエラーが出てしまいます。
このような前提の上で、EA稼働させるときに何を目安としてロット数を設定するか、というお話をしていきます。
EAの性能を測る目安
以前、「【FX】システムトレードでチェックすべき5項目」という記事を書いたのですが、
この第5番目のチェック項目に「リカバリーファクター」というものがあります。
リカバリーファクター = 純益 ÷ 最大ドローダウン
という計算であらわされる指標です。
純益は、バックテスト期間中に得た利益です。
ドローダウンとは、最大資産から下落いた場合の習慣的な下落幅を表します。
ドローダウンについて
ドローダウンについてもう少し詳しく解説します。
たとえば、
- 1ドル100円のときに「1ドル買い」でエントリー
- その後90円になれば10円の損失
- その後130円になれば30円の利益
- その後90円になれば40円の損失
という相場状況だったとすれば、決済のタイミングによって、10円のドローダウンが発生したり、40円のドローダウンが発生したりするわけです。
この場合、最大ドローダウンは、期間中の最大をとるので、「40円」ということになります。
実例を見てみましょう。
これはあるEAの2年間のバックテスト結果を「Quant Analizer」というソフトで解析したものです。
折れ線グラフが収益の推移を表し、
下の赤い棒グラフがドローダウンを表します。
折れ線グラフの落ち込み部分(赤丸)で、棒グラフも伸びていることがわかります。
この最大の伸びしろのところ(右側の部分)が最大ドローダウンとなります。
「期間中の利益が1033ドルに対して、週間最大567ドルの損をしたことがあったよ」
ということを教えてくれているわけです。
ちなみにこの場合のリカバリーファクターは「1.82」となっています。
実際のバックテストからロット数の目安を探る
ドローダウンについて理解されたうえで、EAのバックテストデータからどのようにロット数を決めればいいのか、
その目安の考え方について解説していきます。

こちらのバックテストは、【Tulamben】というEAのデータとなります。
- バックテスト期間:2011年~20021年
- ロット数:0.34ロット
- 初期証拠金:10000ドル
- 純益:18817.56ドル
- 最大ドローダウン:1891.30ドル
- リカバリーファクター:18817.56 / 1891.30 = 9.94
つまりこのEAは、
10年ちょっとの期間中「0.34ロット」でトレードをした結果、
「18817.56ドル」の利益を残したが、途中で「1891.30」ドルの損失を出したことがある、
ということがわかるわけです。
1ドル130円で計算すると、
- 初期証拠金:130万円
- 純益:244万円
- 最大ドローダウン:24万円
初期証拠金は10万円とすれば、
- 初期証拠金:10万円
- 純益:18万円
- 最大ドローダウン:1.8万円
利益とリスクのバランスをとる
バックテスト上のデータからここまで読み取ることができました。
あとはこのデータをもとに、ロット数を検討していきます。
ここから先は、実際に運用するにあたってどの程度のリスクを許容できるか、という運用者さまの意志が関わってきます。
10万円の元手で、18万円の利益と1.8万円の損失をとるか
ロット数を3分の1に下げて(0.11ロット)、
10万円の元手で、6万円の利益と6千円の損失をとるか、
つまりはどの程度のリスクを許容できるか、となってくるわけです。
もちろん、この計算値はバックテストから導き出した目安にすぎません。
あくまでもバックテストですので、今後も同様であるという保証はないため、
最終決定は運用者さま次第ということになります。